さようならＳ部長

僕の所属長にあたるS部長が今年で定年を迎えたが再雇用制度によりそのまま”嘱託”という
ことで「部長」の肩書きのまま居座っている。

で、このＳ部長。何にしても細かい。仕事上の対立というか衝突は日常茶飯事なのである。
とくに僕の直属の上司であるＦ課長と折り合いが悪く、もちろん僕と部長も相性が悪い。
そんな部長が異動となった為、送別会が開かれた。

送別会はジンギスカン料理を囲むかたちで行われ、運悪く？僕の向かいにＳ部長が座る。
何年も一緒に仕事をしてきたのであるが、話が続かないというより無言が続くのでビールを
飲む量が増える。
”いかん、このままでは飲むばっかりで送別会が終わってしまう．．．”
話題を求めると昔話にならざるをえないのだが暗い話しか出てこない。なんとか話題を探す
とＳ部長の話は過去に在籍していたＪさん（女性）とＦ君の話題になる。

このＳ部長のお気に入りであった若い女性社員のＪさんが退職したのは僕が原因？とＳ部長
は思っている。
あるプロジェクトで僕の下で仕事をしていたＪさん。見た目は可愛らしく他部署の上司部下を
問わず顧客からも人気があった。しかし、僕とは折り合いが悪かったのだ。
一緒に仕事をする上でワガママが多く顧客より自分本位で仕事をする子だから。
顧客担当者などはアイドルみたいな感じで接するので、ますます図にのりワガママ連発する。
何度も課長や僕がJさんの仕事のミスを含めフォローしたかわからない。
ある顧客先でＪさんが顧客担当者と意見の衝突があり、泣きながら自分の正当性を訴える。
てきとーに手を抜く僕もこの時はＪさんに非があると思い厳しく言った。
「お前さぁ～、自分に非があるのがわかんね～のかぁ？ビービー泣けばイイと思ってんなら
お前ジャマだよ。帰れ帰れ。仕事のジャマ！」
こう言った瞬間、Ｊさんカバン持ってホントに帰ってしまい３日間欠勤してしまった。
その挙句、半年後に「なんちゃって結婚退職（結婚の予定は無いが結婚を理由にして退職
願いを出す事）」してしまったのだ。
僕にしてみれば”ワケわかんない子”にしか見えなかったのだがJさんを可愛がっていたＳ部長
はいまだに未練がましくJさんの退職は僕が原因と言う。あ～ウザイ。

もう一人のＦ君の話。
このＦ君は直接僕の下で仕事をしていた訳ではないのだが某プロジェクトで担当する顧客を共有
したことがある。で、このプロジェクトの最中にＦ君は投身自殺をしてしまったのだ。
自殺の原因はいまだに定かではない。ウワサでは結婚出来ない自分を自分で責めて自殺して
しまったということらしい。が、部長はプロジェクトで行き詰ったＦ君を僕がフォローできていなかっ
たのが原因と思い込んでいるフシがあるのだ。
Ｆ君の自殺で相当自責の念に駆られ、おちこみ凹んだ部長。
対照的に「自殺してしまったヤツのフォローまで出来んわい」と考えてた僕とは真逆。
そのことも今更グチグチ言う。もう知らん。

そんな一次会が終わり、行きつけのラウンジで二次会を行うという。
ゲンナリした僕は「明日朝が早いのでお先に帰ります～」と言って、帰宅したのであった。

さようならＳ部長、他の部署へ異動してもがんばってね♪